デタラメPhotoshop
解像度(dpi)とは

Photoshopなどのグラフィックソフトを使っていると「解像度」とか「dpi (DPI)」といった言葉や単位を目にします。
「写真を印刷したが、どうもカクカクしている」という経験をお持ちの方もいらっしゃるかと思いますが、これは
「解像度」を理解していない事に原因がある事が多いでしょう。

ここでは、「画像データの解像度」・「スキャナ読込時の解像度」・「プリンタの解像度」・「モニタの解像度」の
3つの視点から説明してみたいと思います。少々ややこしい説明ですが、特にプリンタでの印刷をする場合には必要な
知識ですので、よく読んでみてください。

▼画像データの解像度
印刷の際にとても大切なのが画像データそのものの解像度です。ただし印刷をしない場合、たとえばホームページのようなモニタ上でのみ画像を使う場合は特に気にする必要はありません。
画像データに限らず「解像度」という場合、その多くは「dpi (Dots Per Inch)」という単位で表します。1インチの長さにいくつのピクセル(ドット、つまり画像を構成する1個1個の画素)が入るかという事、すなわち画像の「密度」のことと考えて下さい。
Photoshopをはじめとするビットマップ方式のグラフィックソフトのデータは、小さな四角い点の集まりで写真などの画像をあらわします。言ってみれば細かい方眼紙のマス目ひとつひとつを様々な色で塗っていく「塗り絵」のようなものです。
その方眼紙のマス目(=ピクセル)は正方形なので、マス目の大きさが大きければ、カクカクした画像に見え、小さければ小さいほどそれが目立ちません。1cmマスの方眼紙を塗り分けて絵を描くよりも、5mmマスの方眼紙を塗り分けた方がより緻密でキレイな画像に見えるのと同じことです。
しかし、下図のように同じ面積を塗ろうとすると、マス目は細かいほど数が多くなり、作業がたいへんになります。パソコンでも同じで、マス目(=ピクセル)の数が多くなるほどデータ量は大きくなり、CPU等に負担がかかって作業のスピードも落ちていきます。基本的にはこのマス目の総数こそがデータ量(ファイルの大きさ)なのです。
 大きいマス目
=低解像度・マス目の数が少ない
=データ量が小さい
 小さいマス目
=高解像度・マス目の数が多い
=データ量が大きい
 ※上の画像は、データ量の異なる画像を同サイズになるよう解像度(dpi)を調整して印刷した場合のイメージ画像です。この画像そのものの解像度とは関係ありませんので念のため。

また、マス目の総数が同じであれば、ひとつひとつのマス目が大きいものの方が、当然ながら全体の広さ(印刷時の大きさ)も広く(大きく)なりますね(図3と図4)。この密度が、すなわち「解像度」なのです。

 1つ1つのマス目が大きい
=低密度・印刷サイズが大きい
 1つ1つのマス目が小さい
=高密度・印刷サイズが小さい

 ※データ量が同じ画像(まったく同一の元データ)の解像度を変え、異なるサイズに印刷した場合のイメージ画像です。

たとえば「200×200ピクセル」のデータがあり、このデータを「100dpi」に設定したとします。「100dpi」とは「1インチの中に100個のピクセル」が入る密度の事ですから、印刷時の大きさは200÷100で「2インチ四方」ということになります。
同じ「200×200ピクセル」のデータを今度は「200dpi」に設定したらどうでしょう。「1インチの中に200個のピクセル」ですから密度が2倍、すなわちひとつあたりのピクセルの印刷サイズが半分の大きさになり、印刷時の大きさは200÷200=「1インチ四方」と小さくなります。
逆に言うと、1インチ四方の印刷をしたい場合、「100dpi」の密度なら「100×100ピクセル」のデータでOKですが、「200dpi」なら「200×200ピクセル」のデータが必要になるという事です。この時、データ量は前者の4倍になります。
もうおわかりかと思いますが、用紙と解像度が決まれば自ずと用意すべき画像データの縦横それぞれのピクセル数も決まってくるのです。計算式で表すと、

  縦(横)のピクセル数 = 縦(横)の印刷サイズ(インチ) × 解像度(dpi)

ということになります。
たとえばパーソナルプリンタを使い150dpi前後の解像度でA4用紙に印刷しようとすると、余白を考えれば1500×1100ピクセル程度の画像を用意すれば良い、ということです。近頃はパーソナル用とはいえカラープリンタの性能が著しく向上していますから、150〜300dpiくらいに設定するのが良いでしょう。
なお、この「画像データの解像度(すなわち密度)」を変えるには、Photoshopのイメージメニューから「画像解像度...」を選んで変更します。この時「画像の再サンプル」のチェックを外しておくことが重要です。このチェックが入っていると、画像データを「縮小」や「拡大」することになり、ピクセル数が変化しデータサイズそのものがかわってしまいますので注意して下さい。

▼スキャナ読み込み時の解像度
これは画像解像度と同じものです。読み込み時、スキャナドライバの設定で解像度を100dpiにすれば、原稿を「1インチあたり100ピクセル」の密度で読み込みます。
縦横2インチの原稿を100dpiの設定で読めば200×200ピクセルの画像ができあがります。
この200×200ピクセルの画像を1インチ四方に印刷したい場合、つまり縦横とも原稿の半分のサイズで印刷したい場合は、Photoshopのイメージメニューから「画像解像度...」を選び、「画像の再サンプル」のチェックを外してから「解像度」の欄の数字を、読み込み時の2倍の「200(dpi)」にすればよいのです。
逆に4インチ四方に印刷したい場合(すなわち原稿の2倍の大きさで印刷したい場合)は、「解像度」の欄を「50(dpi)」にして密度を下げてやればよいことになります。ただし、50dpiだと印刷に充分な解像度にはほど遠い(階段状のピクセルの正方形が目立つのです)ため、スキャナ取り込み時の解像度設定を「100dpi」より大きく、たとえば「200dpi」や「300dpi」にして取り込んでデータ量を大きくしておく必要があります。繰り返しになりますが、2インチ四方の原稿を200dpiで読み込めば400×400ピクセルに、同じ原稿を300dpiで読み込めば600×600ピクセルの画像データを得られることになります。

▼プリンタの解像度
プリンタのカタログには「600dpi」とか「720dpi」という数字が並んでいます。ですが、一般的な個人用プリンタを使用してカラー印刷をするかぎり、この数字は忘れてもらって構いません(昇華型プリンタを除きます)。もちろん、画像データの解像度とも無関係です。使っているプリンタのカタログに「720dpi」と書いてあるからと言って、画像も720dpiのものを用意しないといけないということはまったくありません。

1台のプリンタで「360dpiモード」と「720dpiモード」など複数の印刷モードを持っている事が多い(Photoshopから「用紙設定」や「印刷」を選んだ時に出てくるウインドウで選択します)ですが、この数字そのものはあてにせず「普通モード」と「高画質モード」程度に考えるようにしましょう。それで充分です。理由を知りたい方は、以下数行を読んで下さい。
プリンタのカタログに載っている「dpi」はさきほどの画像データの「dpi」と少し意味が違います。プリンタの「dpi」は「どのくらいの間隔で点(ドット)を打てるか」という数字です。もちろんこの場合の「点」はインクの一粒です。「画像データの「ピクセル」とは別にして考えましょう。
インクジェットなどの一般的なパーソナルプリンタの場合、この「点(ドット)」ひとつだけではフルカラーを表現することができません。いくつかの点を並べ、擬似的に中間色を表現しているのです。ただそれらが非常に小さい点の集まりであるため私たちの目には確認できにくくなっているというわけです。
ですから、カタログの数値よりも実際の「dpi」はずっと低くなります。
ただし、真っ白と真っ黒だけの2値(モノクロ)印刷の場合、理論上はほぼその数値通りになるはずです。黒だけの印刷になるので、複数のドットをあわせて色を表現する必要がないためです。
「いくつかの点を並べて中間色を表現する」と書きましたが例外もあります。昇華型と呼ばれる種類のプリンタは1ドット単位でフルカラーを表現する事ができるものが多いので、カラー印刷でもカタログ数値どおりの解像度が期待できます。

▼モニタの解像度
モニタについて「解像度」と言う場合、上記のような密度のことではなく、多くはモニタの広さ(ドット数)を表すことが多いようです。「640×480」、「1024×768」という具合です。もちろんdpi等の単位は使いません。「高解像度表示」などというふうに使います。
それとは別に、やはり「密度」としてこの言葉を用いることもあります。
たとえばMacintoshの場合、以前は「640×480表示」を13インチモード、「1024×768表示」を19インチモードと呼ばれる事がありました。これは、それぞれの解像度をその大きさのモニタで表示させると、モニタ上でもA4サイズの用紙はA4サイズ大に、B5サイズの用紙はB5サイズ大に表示されるため、こう言っています。このときのモニタのドット密度は「1インチの中に72ドット」であり、Mac用グラフィックソフトで新規書類を作ると解像度の初期値が「72dpi」になっている事が多いのはこのためです。
モニタの画面も画像データ同様、正方形のマス目で成り立っています。Photoshopの虫眼鏡ツールをダブルクリックすると、画面のマス目と、画像データのマス目をぴったり合わせることになります。すなわち画面上の1ドットは、画像データの1ピクセルと等しくなるのです(これを「ピクセル等倍」と言います)。Photoshopで画像表示サイズを100%にするということはこういうことです。印刷サイズとはまったく無関係です。

 




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